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2011.06.14 吉田正幸
「放浪記~原付で~」4 大手衣料販売店ストーリー②


透明なプラスチックでできた球状の容器に舞う三角くじ。
その巨大な装置は
一時期よく、観光スポットでも特に下衆な土産屋に客寄せパンダよろしく店頭に鎮座していました。
 
人工的に作られた風で絶えず吹き上げられ、留まることのない三角くじめがけ
ちょうど腕の大きさに開けられた穴から手を伸ばす。
いくつものくじが手をすりぬける中、意を決し手のひらに一枚を収める。
それは意志と気まぐれの一回限りの出会い。

思い出すという行為をもし見ることができるとしたら
あのひどく間抜けで、でもひどく真剣なそんな光景なのかもしれません。

前も後もなく、浮いては沈む記憶のかけらを、自分のほうへ手繰り寄せる。
ときには、思いがけず手に収まる記憶もあれば、掴んでもすぐに消える「はずれ」の記憶もある。

それでもやっぱり意志を持って、思い出して欲しい。
そう
私が一年近く前に書いた、今から記す話の前半部を。

場所は錦糸町のユニクロ。
私はその時、入念な試着をし終えた末、購入を諦めた980円のセーターをワゴンに返そうとしていたのです。

ワゴンに戻り、そこで私ははたと気づきました。
ビニール袋がない。
そう、セーターはビニール袋から取り出したもので、
ワゴンに置いておいたはずのそのビニール袋が見当たらなかったのです。

私はワゴンの中をまさぐり、ビニール袋を探しました。
その時です。伸びやかなさえずりのような声が私に囁いたのは。

「これですか?」

私が見上げると
そこには、ワゴンからこぼれ落ちたと思われるビニール袋を手にした青年が佇んでいました。
年の頃は、20代半ば、ボタンダウンシャツにセンタープレスのパンツ、足元にはアンクル丈のチャッカブーツを履きこなし、この大手衣料量販店にそぐわない、清潔でトラッドな雰囲気を青年は醸しだしていました。
わたしは
「あ、そうです。すみません」
と一言だけ言うとビニール袋を受け取り、手早くセーターを片そうとしました。
980円のセーターをじっくりと試着していた姿をこのオシャレボーイに見られていたのではないかという恐れが私を急かしていました。
しかし、その青年は続けて、決定的な一言を私に発したのです。

「そのセーター似合いますね」

私は余りのことに声を失いました。
すっと私のまわりのものが音もなく消え去りました。
まるで私と青年とその2人を繋ぐビニール袋しか存在しないかのような感覚。
次第に、照れや気恥ずかしさがこみ上げ、まだ混乱した頭で何とか言葉を紡ぎました。

「…やめてください」

そう言うのが私にできるすべてでした。
しかしあろうことかその青年は動揺する私にさらに追いうちをかけてきたのです。

「いや、あの僕、店員とかじゃないんですけど、本当に似合うと思ったから」

もし私の心音をその時聞いていたならば
確実にTOKIMEKI・TOKIMEKIと鳴っていたでしょう。
気づけば
私は逃げるようにその場を立ち去っていました。
この勢いではプロポーズされてしまうのではないか?
という驕り高ぶった不安が私を包んでいたのです。
そして何より私はそれに応じてしまうのではないかという不安が、私にそうさせたのです。

あの言葉を発した時の青年を思い出してみることがあります。
私が手に掴んだ記憶のかけらには
その少し照れた言い方、そのぎこちない視線、それでも思いを伝えようとする真摯な姿がはっきりと映っています。
そうです、
あの時、確かに私の持つセーターと青年の持っていたビニール袋はピッタリと重なったのです。
意志と気まぐれの一回限りの出会い。
もう少し私に勇気があったなら…




ぞっとします。


2010.09.29 吉田正幸
「放浪記~原付で~」4 大手衣料品量販店ストーリー①

先日、某大手衣料品量販店に出かけました。
店内に入るまでは、ほつれてクタクタになってしまった下着の替えを買いに
というそんな切実な気持ちだったのです。

ですが、色とりどりのユニークなクロージングに囲まれ、
家族やカップルで賑わう店内をうろつくうちに、
心の奥底にしまったはずの私のおめかし心に
ほのかなトモシビがうっすらとゆらめきだしのです。

そこにはいつの間にか、本来の目的を忘れ、社会的身分も懐具合も忘れ、
自分に似合うサムシングを求める一人のシンデレラがいました。

私はセール中のワゴンをくまなく物色し
ついに990円のサムシング(セーター)を見つけ出しました。
そして
一丁キメてみっべかと、
鏡の前に移動したのです。

しかし
紺色のセーターの首に頭を通し、
目を開いた私を待っていたのは
鏡に映る見知らぬ男性でした。

そうです。30代半ばといった感じの小太り男性が
私の斜め前に強引にカットインするやいなや
セレクトしたピッタリ目の半袖アーガイル柄ニットを着込み
ニットと自分のマッチングを検証し始めたのです。
呆然とする私を尻目に
次々とポーズを変え念入りにチェックし続ける男性。

ただでさえ、公衆の面前での試着に抵抗があった私です。
絞り出したちょっぴりの勇気をその男性は踏みにじり、
半袖ニットと自分だけの世界を作り上げています。

ここまできた以上
後に引けなくなった私は
自分のプライドを、いえモラルを守るため、
いえなにより、試着したまま他の鏡を探し彷徨うことの恥ずかしさを恐れ、
半袖ニット男の横にピッタリとフレームインしていきました。
かくして
1つの鏡をめぐりいいオッサン2人が並んでポージングし合う
という
凄惨なファッションショーが繰り広げられたのです。
しかも
やや私がうしろに位置したせいもあり、
偶然にも前後の空間を有効に使ってのショーイングになり、
いよいよ目も当てられない惨状を呈し始めました。

「こんな事をするために生まれてきたんじゃない」
私の胸にこだまする思い。
「見ないでくれよ!店員さん!」
私は心の中で絶叫していました。
「おっさん、そのニットめちゃくちゃダセえよ!プロ野球選手のオフか!」
私は力ない遠吠えでなんとか崩壊しそうな自尊心を繋ぎとめようとしていました。

そして
おっさんがすっかり自分のパフォーマンスに満足し立ち去ると、
私は1人とり残されました。
おっさん含め合計1980円のファッションショーは幕を閉じたのです。

そのあと、たとえ鏡を独り占めできるようになったとしても
私には、自分の姿を見ることはできませんでした。
鏡に映る自分を見つめられるほど強くはなかったのです。

私にとっては鏡は余りにも自分の本当の姿を映し過ぎるのです。
そこにはカボチャの馬車も素敵なドレスも映りはしません。
人生はいつでも12時過ぎから始まるのです。

しかし
このあと、
青年男性が懐にガラスの靴を持って現れることを
私はまだ
知りませんでした…

追記:続きます。

2010.09.04 吉田正幸
「放浪記~原付で」3 
今回の公演準備中で
最も印象に残っている出来事を
今日は記したいと思います。

稽古場として借りていた西巣鴨へは
節約のため片道45分かけて原付で毎日通っていました。

その帰り。いつものようにダラダラと原付を滑らせていると
ふいに大型の和製アメリカンバイクがわたしを追い越していきました。

ワイルドな男が操縦するアメリカンのタンデムには
女性が彼氏にしがみつくように座っていました。
その時、私の目はただ一点に注がれました。
女性の穿いたミニスカートの丈が短かすぎ、
ぎりぎりお尻で抑えているものの
ヒラヒラと風にあおられ、
生尻のWラインが見え隠れしていたのです。

気づくと私の原付はフルスロットルで獲物を追いかけていました。
スピードメーターは未知の領域に突入しています。
詳しくは差し支えあるので書きませんが、
それ以上、アクセルを開け放つのは不可能でした。とだけ言っておきます。
その時私を駆り立てていたのは
太古の昔に失われた野生の本能という名の下心でした。

しかし相手はアメリカの荒馬、正面からの勝負では分がありません。
私はネズミのような敏捷性を武器にコソコソと獲物に近づきます。

隙をうかがい、獲物に肉薄するコネズミ。しかし
そう簡単には神は美酒を傾けてはくれませんでした。 
何度目かの信号を過ぎた頃、
私の免許停止をかけた戦いにタクシーが割り込んできたのです。

その緑色のハイエナは明らかに荒馬のケツを狙い、
ぴったりと背後に忍び寄っていきます。

深夜の蔵前橋通りで繰り広げられた季節はずれの桃狩りは
いよいよ熱がこもり、収穫祭へと突入していきます。

かつてマークXのCMで佐藤浩一は
「私の真ん中に俺が座る」
と言っていましたが、
ひょっとして浩一が言っていたのは
こういう状況のことかなと思ったりもしましたが、
たぶん違うと思います。

いくつ交差点を通り過ぎたでしょう。
ついに私は、
赤信号で止まるアメリカンをその狡猾なニヤケ面で捕らえました。
しかし
最高潮に身を火照らせた私を待っていたのは、
止まっているため風になびかずに、ケツをきれいに隠すミニスカートでした。


人はあと何度、愚かな過ちを犯すのでしょう?
不可能だとわかっていながらなぜ、空を飛ぼうとするのでしょう?宇宙を駆けようとするのでしょう?

そして私は幻の果実を追い求め今日も原付にまたがります。
私がガムシャラに走っている間だけ見せてくれる夢のイリュージョン。

今夜もどこかで桃が揺れている。

ユッサユッサ…ユッサユッサ…

追記 すみません。

2010.09.03 吉田正幸
「放浪記~原付編」2
今回の公演
テニスコートコミック2010「見テ。ニューボール」では
ボールボーイがメイン?のキャラクターとして登場するのですが
この公演中に私が登録する某派遣会社から
「大人気!ボールボーイのお仕事」
というバイト斡旋メールが来ました。
偶然とは思えないこの展開に私は驚きましたが、
だからといって
どうすればいいのかわからず、とりあえず放置しました。

しばらく時間をあけた今、冷静に
このメールを眺めると、
最初に読んだ時以上に「どうでもいい」という思いがもたげました。

なにより
いち野球ファンとして
特権的な地位にあると思い込んでいたボールボーイが
私のような下流民の中から派遣されていることに
トホホと感じずにはいられませんでした。
ただその900円のアルバイトにも
私自身、応募資格をクリアできていません。

結局何が言いたかったのかというと
ビールの売り娘さんとのラブロマンスという長年の夢を叶えるチャンスを
逸したことそれが何よりも心残りだということです。

最後に
送信されてきたボールボーイの条件を記載します。
きっとツバメの球場です。


■場所:外苑前駅近く
■給与:アシスター¥900/スターター¥850
■時間:13:00~21:00
■残業の可能性:あり(2h以上)
■内容:野球選手とのキャッチボール、ボールボーイ
■服装:ユニフォームのズボン・スニーカー・Tシャツ
■応募要件:公式野球の経験のある方(高校野球以上の経験がある方)・挨拶がしっかりできる方
2010.08.19 吉田正幸
「放浪記~原付で~」1 【アソビットシティー】
こんばんは
吉田正幸です。
今回からは、ただひたすらにブログが継続するようにという願いを込めて
「放浪記~原付で~」をはじめたいと思います。


今日は、公演で使う小道具を買いに秋葉原に行きました。「アソビットシティー」という玩具ばかりが売っているビルに行きたかったのですが、場所がわからず、みち行く人に尋ねることにしました。
手始めに高校生くらいの若者2人組みに

「アソビットシティーはどこですか?」

と聞くといぶかしげな顔をされ「わかりません」と言う返事。
それならと、配送業者のお姉さんに

「アソビットシティー知っていますか?」

と聞くと、顔を横に振られ、失敗。
おじさんならとブラブラしているおっさんに

「アソビットシティー知っていますか?」

と聞くと、「え?」と
何を聞かれているのかさえもあやふやな雰囲気。
3回もつき返されると聞いているこちらもだんだん「アソビットシティー」という存在に疑問が湧いてきて、本当にあるのか不安になってきました。もしないとしたら「アソビットシティーはどこですか?」とみち行く人に聞いていた自分は一体どんな風に思われていたのですか?
「エルドラドはどこですか?」と西部をさまよい歩く愚か者ですか?黄金郷を探しているように見えましたか?
黄金郷ならまだしも「アソビットシティー」ですよ。なんですか?「アソビットシティー」って。知らない人にとってはなんかわからないけどふざけた駄洒落みないなこと言われたなあって思いますよ。しかもその駄洒落を「知りませんか?」なんて尋ねられて、そんなこと言われても困るとしか言えないですよ。だいたい何と何をかけたら「アソビットシティー」になるんですか?
ちゃんとかけたんですか?途中で余計なもの足したり引いたり割ったりしてませんか?

ひどく間抜けな気持ちになったんで「アソビットシティー」に電話して場所聞きました。


追記:目と鼻の先にありました。
2009.04.22 吉田正幸
テニスコートコミック10「防水と塗装」が今月末の4/30から5/4までの5日間、神楽坂のシアターイワトにて開催されます。

今回はアパート日記をお休みし、公演への並々ならぬ意気込みを証明するため、以下の事柄を自分に課したいと考えます。
1 おもいっきりDON!・笑っていいとも・情報ライブミヤネヤの視聴中止
2 ベビースターラーメンの摂取中止
3 プロゴルファー石川遼のブログ「イソガバ、マワルナ!」の閲覧の中止(お気に入りの女優ブログ(3つ)もこれに含む)
4 次に狙う家電の価格相場チェックの禁止
5 写真週刊誌の立ち読みの中止
6 靴下の二日履きの禁止
7 家に住む蜘蛛に対する接写行為の中断
8 その日の服装に合わせた帽子選びの中止
9 トイレでの漫画禁止
10 居眠りの中止

これを全て実行した暁には、今より6時間くらいは時間を有効に使える計算になります。
しかし私は時間を有効に使った経験が余りないので、今からとてつもない不安を感じています。
急に部屋の模様替えをしてしまいそうです。手の込んだカレーを作ってしまいそうです。自分のサインの練習をしてしまいそうです。
公演当日、自分が手編みのマフラーを巻いていないことを祈ります。



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